学術・研究
分子治療・再生医学的研究
1)糖尿病の遺伝医学的研究
糖尿病およびその合併症の発症進展にかかわる遺伝因子につき、分子遺伝学的ならびに遺伝疫学的な解析を行っている。特に病態と発症機序の解明を目的とするものである。教室の疫学研究グループとの共同研究により、1型糖尿病の遺伝疫学を始め合併症の分子病態に関する研究を展開してきた。近年ではGlutathione peroxidase-1活性の変異に基づくRedoxバランスのシフトが動脈硬化性病変の発症進展にかかわる遺伝的因子の一つであることを同定し発表した。今後はテーラーメード医療への展開も図っている。班構成員のうち佐々木と根本は人類遺伝学会認定の臨床遺伝専門医を持ち、患者支援として広く内科疾患の遺伝相談を行っている
2)膵内分泌の再生医学・遺伝子治療に関する研究
インスリン分泌不全は2型糖尿病を始め、ほとんどの病型において主要な成因である。私達はDNA医学研究所遺伝子治療研究部と共同で、これまで不可能であった膵島細胞への遺伝子導入法を確立した。この方法はインスリン産生細胞であるβ細胞の再生システムへの分子介入を可能にする。現在は特に細胞周期G1/S transition を活性化する、いわばβ細胞増殖促進療法による再生医療を目指して研究を進めている。すでにマウスの実験系では活性型 CDK4 遺伝子をアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターによりin vivo にて膵島へ導入し、β細胞の再生不全の補完、糖代謝の改善を確認している。
3)新規技術による糖尿病の診断と治療に関する研究
飛躍的な新規技術により全く新しい方式の経肺インスリン・デリバリーシステムの開発を推進している。また糖尿病における神経障害性足病変の発症を早期に診断する研究を神経内科との共同で行っている。これまでに新規の方法により足底および足背部において、より末梢の神経伝導速度を測定することに成功し、早期神経障害を診断できることを確認した。
(佐々木 敬)